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第一章 Nice to meet you!




夕暮れの王国に浮かぶ空は、実に美しい。

と、城内のバスルームで寛ぐ、ビクトリー王国の王女・繰生 零子(クリナリ・レイコ)は呟いた。


レイコの居るバスルームの窓から見える、夕焼け空は、うっすらと浮かぶ雲を照らす淡いオレンジ色と、水平線に沿って何処までも続く、パープル色のグラデーションは、確かに、美しい。

黄昏時のビクトリー王国は、とてもゆっくり、ゆっくりと、時が流れていく。



「ともこ、今頃、日本で何してるのかな?」猫足バスタブで森林の湯に浸かりながら、携帯でメールを打つレイコ。

「レイコ様、大丈夫でしょうか?」
バスルームのドアの外でレイコを待つメイドの声。


「えぇ。私は大丈夫。もうすぐ、あがるわ。」

レイコは携帯を持ったまま、ゆっくりとバスタブから脱け出し、そのままバスルームを出た。
「バスタオルでございます、レイコ様。」

レイコはメイドに軽くお礼を言うと、バスタオルを受け取る。
「今夜は、彼は来るかしら?」
バスタオルで自分の体を拭きながら、レイコは聞く。


「花屋の息子のことですね。」
メイドはレイコの彼氏を知っていた。

「花屋の息子じゃなくて、香 春兎(コウ・ハルト)と呼びなさい。分かった?」

メイドがハルトを名前で呼ばないのは、レイコとハルトが舞踏会で初めて会った時からずっとだ。


「ですが、私は、あの男はレイコ様には合わないと思うのでございます。しかも、彼は一般人です。レイコ様と彼は結ばれることは無いでしょう。」

「それ以上、言うんじゃありませんよ!!」
着替えが済み、バスタオルをメイドに押し付けるレイコ。

「しかし、これは王国の法律でございます。レイコ様、花屋の息子なんて、諦めるべきです。」

メイドを一人残し、足音を立てながら廊下を歩くレイコ。


「もう、お前の話など聞きたくない!!私は部屋へ行く。」

そう言いながら、階段を駆け降りて、自分の部屋へ行こうとするレイコを、メイドが追いかける。

「お待ち下さい、レイコ様!!・・・・・・レイコ様ぁ!!」


必死で追いかけるメイドを、レイコの母でありビクトリー王国の女王・繰生祥子(クリナリ・ショウコ)が制した。

「奥様・・・・・・!!」

祥子は微笑む。

「なぁに、あの子はまだ17歳。まだまだ、青春真っ只中。だから、彼氏が出来たって構わない。でもね、あの子が大人になったら、高嶋 正悟(タカシマ・ショウゴ)さんと結婚してもらうわ。」


祥子の微笑には何か企みが含まれているように、メイドには見えた。








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プロフィール
HN:
MIZURI†Fukami†Ryo
年齢:
31
性別:
女性
誕生日:
1992/08/22
職業:
学生
趣味:
読書、音楽鑑賞
自己紹介:
野いちごで小説を書いてるものです。

なんとなく分かる」という方がいらっしゃれば、僕が誰だか分かりますね。

僕の正体を知っているのは、何人いるかな?



ま、んな感じで、これから小説を書くときもあれば、僕のことを書く時や、僕の日常生活を書くときもあると思います。

てなわけで、よろしく。

MIZURI†HUKARI†Ryo
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